課題
顧客所有銀行の P&N は、従来の金融機関に代わり真のサービスを顧客に提供しています。P&N銀行 ビジネス・トランスフォーメーション、ゼネラルマネージャーのJill Marks 氏は、次のように述べています。「私たちは、何事にもお客様本位で取り組み、競合他社とは一線を画す体験の提供を目指しています。例えば、フレンドリーでスピーディーなサービスや、顧客利益を第一に設計された商品などです」
同行は、サービスをレベルアップし、さらなる業務効率化を図るために、日常の口座維持から融資の手続きまで、あらゆる業務の主要なビジネスプロセスについて深いインサイトを獲得することを望んでいました。新たな視点を得ることで、目標とする改善を実現し、取引や顧客の依頼に迅速かつ正確に対処できるようになるからです。
「以前は、実質的にスプレッドシートで業務を回していました。そのため、お客様からお問い合わせや取引依頼があったときに、その作業項目がシステムでどのように処理されたかを追跡するのに非常に苦労しました」と、Marks 氏は述べています。「処理する作業の量や処理に必要な時間、お客様に提供するサービスのレベルを、私たちは明確に把握できていませんでした。こうしたバックオフィスでのプロセスの可視性と制御を高めたいと考えていました。それにより、各部門は作業を迅速かつ効率的に完了させることができ、その結果、より良いサービスを提供できるからです」
ソリューション
同行は、Kofax のパートナーである Process Automation Group 社に、同行のバックオフィス業務の最適化について相談しました。第 1 弾として、同行は OmniFlow という作業管理システムを導入しました。これは Kofax TotalAgility ソフトウェアを利用してプロセスをデジタル化、構造化、合理化します。
「P&N は小さな銀行なので、個々の投資を大切にする必要があります。そのため、パートナーやベンダーとの良好な関係を重視しています」と、Marks 氏は語っています。「Process Automation Group 社は、P&N 向けにカスタマイズされた作業管理システムを開発するために、Kofax ソフトウェアを活用してすばらしい仕事をしてくれました」
現在、同行は約 90 種類のプロセスに Kofax TotalAgility を利用しています。これには、融資申請や口座管理など大量の情報を扱う業務が含まれています。新しいシステムにより、作業負荷がかつてないレベルで可視化されて制御可能となり、効率化とサービスのレベルアップにつながりました。
Marks 氏は次のように述べています。「OmniFlow と Kofax TotalAgility の導入後、スタッフの生産性が 20% 以上向上し、より多くの仕事をより短時間で完了できるようになりました。バックオフィスチームは、どの作業項目がシステムに入力され、プロセスのどの段階にあり、どれだけの時間がかかっているかを完全に把握しています。さらに、システムでの作業項目の処理について、定義済みのワークフローが用意されました。プロセスの最初から最後まで、一貫性のある明快な方法で処理できるようになりました」
Marks 氏はさらに続けます。「バックオフィスで起こっていることを完全に制御できるようになりました。そのおかげで、私たちはサービスレベル契約(SLA)を一貫して遵守できています。実際、バックオフィス の SLA 遵守率はほぼ 100% です。さらに重要なことに、これらのバックオフィスの改善がお客様へのサービスの向上につながりました。お客様からの依頼やお問い合わせにすばやく対応できるようになり、やり取りが迅速かつスムーズになったのです」
RPAの導入
同行は、よりスマートなプロセス管理アプローチを確立したところで、繰り返し作業の自動化による効率向上に取り組みました。主要なロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)ソリューションをいくつか評価した同行は、戦略的な RPA ツールである Kofax RPA を選びました。決め手となったのは、豊富な機能と使いやすさです。
同行は、Process Automation Group 社の協力の下、ロボティック・センター・オブ・エクセレンスを設置しました。この新しいデジタル・ワークフォースは、従業員をサポートして、データ関連の手作業を自動化し、業務全体の効率を向上させます。
「急速に変化する金融業界において、RPA が私たちのビジネス全体に不可欠のツールとなることを望んでいます。Kofax RPA はこの目標に最適のソリューションです」と、Marks 氏は述べています。「Kofax RPA では、ロボットの設計と展開が簡単にできます。ソリューションを使いこなすために開発者になる必要はありません。私たちは Process Automation Group 社からトレーニングと指導を受けて、社内でユーザーを選抜し、ロボットビルダーに任命しました。別の RPA ソリューションを使用した場合、ユーザーをこれほどうまく関わらせることはできなかったでしょう。別のソリューションでははるかに高度な技術的経験が求められるからです」
Kofax RPA のテクノロジーをベースにしたロボティック・センター・オブ・エクセレンスにより、同行の業務部門と IT 部門が協力して RPA に取り組み、真の価値をもたらすオートメーション化戦略を立てました。
Marks 氏は続けます。「私たちがとったアプローチは、すでに RPA を採用していた他行のものとは多少異なっていました。最大のメリットをもたらす一部のプロセスのみを自動化したのです。また、開発者を雇ってロボットの構築や管理を任せるのではなく、Process Automation Group 社と Kofax の協力を得て業務部門ユーザーに Kofax RPA のトレーニングを実施しました。チームは、ロボットを展開する IT 部門と緊密に連携して、ロボットを設計および開発しました。このアプローチは非常にうまくいきました。業務部門が Kofax RPA について真の当事者意識を持ち、当行のニーズに最適な方法で RPA を業務に取り入れることができました」
ロボットの導入
同行はこれまでに、土地所有権検索から資産査定報告書まで様々なプロセスのデータ抽出・統合作業を自動化する 11 個の RPA ロボットを設定しました。また、複数のデスクトップ・オートメーション・ロボットを展開しました。これらは Citrix 環境と連携し、業務部門ユーザーと一緒に付随的タスクを実行できます。
例えば、顧客が住宅ローンを申し込むと、銀行は資産を評価してその価値を判断します。そのためには、顧客と融資に関するデータおよび様々な外部ソースの査定報告書を取得して評価する必要があります。
同行は、必要な融資データの抽出と査定報告書の要求を自動で実行する 2 個の RPA ロボットを設定しました。さらに、情報を評価して同行のコアとなる融資プラットフォームにアップロードし、取引を処理する 2 個のロボットも設定しました。
Marks 氏は次のように述べています。「これは RPA への移行の始まりにすぎませんが、RPA を使用して査定報告書の要求と評価のプロセスを自動化したことで、従来よりも 11% 少ない人的労力で年間融資件数に対応できるようになりました。ロボットは、段階を踏んで完了にいたる骨の折れるすべての繰り返し作業をうまく処理してくれて、意思決定やさらに複雑な作業が必要な場合はスタッフに引き渡してくれます」
結果
同行では、よりスマートな作業管理と RPA を組み合わせたことで、かつてない生産的で的確な働き方が浸透しました。そのため、処理時間を短縮し、エラーのリスクを最小限に抑えることができました。
「Kofax TotalAgility と OmniFlow のおかげで、バックオフィス業務が大幅に効率化されました。そして Kofax RPA によって、私たちはまったく新しいレベルに到達しました」と、Marks 氏は述べています。「スタッフと一緒に仮想ワークフォースが働いています。人間よりもはるかに速いスピードで繰り返し作業を処理してくれます。その結果、バックオフィスで年間数千時間分の労力を節減し、処理時間を大幅に短縮できました。従業員も、新しいデジタル・ワークフォースと一緒に働くことをとても肯定的に捉えています」
「同時に、当行のプロセスの品質と精度も向上しています。手作業では常に人的エラーのリスクがありますが、RPA ロボットは当行のビジネスルールに 100% 従ってタスクを毎回完璧に完了してくれるので、信頼できる存在です」
効率向上によって、同行の各部門はより多くの仕事をより短い時間で処理できるようになり、同行の利益ある成長が促進されています。Marks 氏は強調します。「私たちは今もなお SLA 目標を達成しています。RPA のおかげで、より少ない人数で対処できています。生産性が向上したことで、特定分野で新しいスタッフを採用せずに済みました。そして、削減できたリソースをさらに RPA と付加価値の高い他の対顧客業務に投入できました。当行のように小さな相互銀行にとって、これは信じられないほど有益なことです。Kofax のソリューションは、さらなる拡張の可能性を確実に後押ししています。コストの増大なしに事業を成長させることができるのです。当行は顧客所有銀行なので、私たちが挙げた利益は事業に再投資されます。このような節減により、お客様にとっての価値がさらに高まります」
「P&N には、これはとても刺激的な展開です。RPA への移行はまだ始まったばかりです。今後 RPA ソリューションを組織の全部門に導入することを楽しみにしています」
Marks 氏は締めくくります。「優れたテクノロジーを優れた人々と結び付けると、より優れた事業運営の機会が生まれます。Kofax および Process Automation Group 社とのパートナーシップにより、顧客体験と運営効率のどちらも向上し、スタッフの日常にはゆとりが生まれました」